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「休み方を学んだことがありますか?」
そう聞かれたら、少し前の私は「休むのに学ぶことなんてあるの?」と答えていたと思います。寝ればいい、休日にゴロゴロすればいい。その程度の認識でした。
HARUTO休むのに学ぶことなんてあるの?寝ればよくない?



その考えで倒れた人が、目の前にいるんだけどなぁ
でも、その「休み方を知らないまま働き続けた」結果、私は心身の調子を崩して、担当していたプロジェクトから一度離れることになりました。
回復の過程で出会ったのが、『休養学』という本です。読みながら何度も「これ、まさに自分のことだ」とページを止めました。この記事では、本の詳しい内容そのものではなく、この本が体調を崩した私に何を教えてくれたかを書きます。同じように「疲れているのに休めない」人に届けば嬉しいです。


日本人は「休むのが下手」だと、数字が示している
この本を読んでまず突きつけられるのは、「疲れているのは自分だけではない。日本人のほとんどが疲れている」という事実です。
日本人の多くが慢性的な疲労を抱えたまま働いていて、疲労がもたらす経済損失は無視できない規模になっている——本の中では、その実態が具体的な数字とともに示されています。実際、OECDの統計でも日本の年間労働時間はドイツより250時間以上長い。ドイツ人がしっかり休んで成果を出しているのに対して、日本は「長く働くこと」それ自体が頑張りの証明になってしまっている。
読みながら思い出したのは、体調を崩す前の自分の口癖です。「まだ大丈夫」「この仕事が終わったら休む」。今思えば、休むことを先延ばしにする言い訳を、毎日更新していただけでした。
そもそも私たちは「休み方」を教わっていない
考えてみると、私たちは働き方についてはたくさん教わってきました。勉強の仕方、仕事の進め方、効率の上げ方。でも「休み方」を体系的に教わった記憶は、私には一度もありません。
しかも日本には「休む=サボり」という空気が、まだ根強く残っています。私が病院で働いていた頃も、限界まで働くことがどこか美徳のように扱われていて、先に帰ることや休みを取ることに、小さな罪悪感がつきまとっていました。転職して環境が変わっても、その罪悪感は自分の中に染みついたまま。「休めない」のは意志が弱いからではなく、休み方を知らず、休むことへの罪悪感を植え付けられてきたから——本を読んで、まずそのことに気づかされました。
疲労は「マスキング」できてしまう。だから怖い
この本で一番ドキッとしたのが、疲労の「マスキング」の話です。
人は疲れていても、責任感やアドレナリン、カフェインなどで疲労感を覆い隠して動き続けることができてしまう。疲労はあるのに、疲労「感」だけが消される。そして疲労は確実に蓄積し、あるとき心身の不調として一気に表面化する——。
まさに、私に起こったことでした。
私の場合、自覚があったのは「なんとなく眠りが浅い」「休日に何もする気が起きない」程度。それすらも「忙しいから仕方ない」で流していました。でも身体は正直で、ある時期から睡眠や意欲、身体面の不調が続くようになり、最終的に仕事のペースを落とさざるを得なくなりました。



なんか急に体調を崩した気がしてたんだけど…



急にじゃないよ。ずーっとサインは出てたのに、見ないふりしてただけ
振り返って気づいた「不調のサイン」
あとから振り返ると、身体はずっと前からサインを出していました。私の場合、こんな順番でした。
- 眠りが浅くなる(寝ているのに朝から疲れている)
- 休日に何もできなくなる(遊びの予定すら億劫になる)
- 好きだったことへの興味が薄れる(趣味の時間が「消化」になる)
- 身体の不調が出はじめる(自律神経の乱れとみられる症状が次々に)
怖いのは、1〜3の段階では「疲れてるだけ」「歳のせい」と説明がついてしまうことです。ひとつでも心当たりが続いているなら、それは休むタイミングのサインかもしれません。
疲労は、感じなくなったときが一番危ない。これは声を大にして言いたいです。
※不調が続いている方は、この記事や本で自己判断せず、早めに医療機関に相談してください。私も専門家に相談しながら回復を進めました。
「休養=寝ること」ではなかった:7つの休養モデル
では、どう休めばいいのか。この本の核になるのが「休養には種類がある」という考え方です。著者の片野秀樹氏(『休養学 あなたを疲れから救う』東洋経済新報社)は、休養を7つのタイプ(休息・運動・栄養・親交・娯楽・造形/想像・転換)に整理しています。以降は、この本の枠組みを私自身の生活に当てはめた話です。
詳しくはぜひ本を読んでほしいのですが、私にとって衝撃だったのはこの一点です。
「寝る・ゴロゴロする」は、7つのうちの1つでしかない。



え、寝るだけじゃダメだったの!?



寝るのは7分の1。疲れ方に合わせて、休み方を選ぶんだよ
疲れたら横になる、しか知らなかった私にとって、「軽く身体を動かすことが休養になる」「誰かと話すことが休養になる」「環境を変えることが休養になる」という発想は、ほとんど発明レベルの話でした。実際、休日に一日中寝て過ごしたのに疲れが取れていない——あの現象の答えがここにありました。休養の種類が偏っていたんです。


私なりの理解で、7つをざっくり整理するとこうなります(詳しい定義と使い方は本で)。
| タイプ | ざっくり言うと | 私の場合の例 |
|---|---|---|
| 休息 | 何もしない・眠る | 昼寝、早めの就寝 |
| 運動 | 軽く身体を動かして巡りを良くする | 散歩、ストレッチ |
| 栄養 | 食べ方で身体を労わる | 胃腸を休ませる日を作る |
| 親交 | 人や自然とのふれあい | 気を使わない友人との時間 |
| 娯楽 | 好きなことを楽しむ | 音楽、旅の計画 |
| 造形・想像 | 何かを作る・思い描く | ブログを書く、旅程を妄想する |
| 転換 | 環境を変える | 場所を変えて働く、旅行 |
ポイントは、普段使っている疲れ方に合わせて、休養のタイプを選ぶという発想です。頭を使い続けた日は身体を動かす。人に気を使い続けた日はひとりになる。同じ「休み」でも、選び方で回復の質がまったく変わります。
(この7つを実際に1つずつ試してみた結果は、長くなるので別の記事で書く予定です)
一番実践しているのは「先に休む」という考え方
本の中で、私の行動を一番変えたのはこの2つの考え方です。
「仕事がひと段落しなくても、まず休む」
以前の私は「区切りがついたら休む」派でした。でも仕事に本当の区切りなんて来ません。ひと段落を待っていたら、休みは永遠に来ない。だから区切りに関係なく、先に休みを確保する。
「これから疲れそうだから、先に休んでおく」
疲れてから回復するのではなく、疲れる予定の前に休養を仕込んでおく——いわば「攻めの休養」です。大事な山場の前の週末は予定を空ける。忙しくなる月は、先にゆるい日をカレンダーに入れてしまう。休養を「ご褒美」ではなく「準備」として扱う発想の転換でした。
体調を崩した私だから断言できますが、回復にかかるコストは、予防にかかるコストの何倍も大きいです。先に休むのは、サボりではなく投資だと今は思っています。
睡眠は「休養の土台」。削るのは借金と同じ
7つの休養の中でも、本がとりわけ重視しているのが睡眠です。
以前の私は、睡眠を「削れる時間」として扱っていました。忙しければ削り、余裕ができたら返す。でもこの本を読んでから、認識が変わりました。睡眠を削るのは、高利の借金をするのと同じです。削った分はあとから利子付きで返ってくるのに、寝だめで一括返済はできない。
元薬剤師として付け加えると、睡眠はあらゆる回復の土台です。どんな健康法やサプリメントより先に、まず睡眠を整える。順番を間違えると、他の努力が全部効きにくくなります。私が睡眠環境への投資(リカバリーウェアや寝る前の習慣づくり)を始めたのも、この認識の変化がきっかけでした。
よくある疑問に、体験者として答えてみる
Q. 休むのはやっぱりサボりでは?
私も長くそう思っていましたが、体調を崩して確信しました。休まないことのほうが、結果的に周りに迷惑をかけます。私はプロジェクトから離れることになり、チームに負担をかけました。先に休んでいれば、と今でも思います。
Q. 忙しくて休む時間なんてない場合は?
「まとまった休み」を待つ必要はない、というのがこの本の良いところです。7つの休養は、数分〜数時間の単位でも実践できます。昼休みに5分外を歩く(運動・転換)、寝る前にスマホを置いて音楽を聴く(娯楽)——小さく始めるほうが続きます。
Q. 週末の寝だめでは駄目?
私の実感では、寝だめは「マシになる」だけで「回復」はしませんでした。休日の昼まで寝ると生活リズムが崩れ、月曜がむしろつらい。それより平日の睡眠を30分底上げするほうが、体感は明らかに良かったです(個人差はあると思います)。
読んでから、実際に変えたこと
- 睡眠を最優先の予定として扱うようになった(睡眠時間を削る=借金という感覚)
- 忙しい時期ほど、先に「何もしない日」を確保するようになった
- 休養の種類を意識して、寝るだけでなく軽い運動や場所を変える休み方を混ぜるようになった
- 睡眠環境に投資するようになった(リカバリーウェアBAKUNEを試したレビューもこの流れです)
この本はこんな人に読んでほしい
- 「疲れているのに休み方がわからない」人
- 休日に寝ても疲れが取れない人
- 「まだ大丈夫」が口癖になっている人(かつての私です)
- 部下やチームの疲労に責任を持つ立場の人
逆に、即効性のあるライフハック集を期待すると少し違います。これは「休養に対する考え方のOSを入れ替える本」です。
まとめ:休み方は、学べる
体調を崩す前の私に一冊だけ渡せるなら、この本を選びます。
疲労はマスキングできてしまうから、気づいたときには遅いことがある。だからこそ、疲れる前に、休み方を学んでおく。「休養は削るものではなく、成果を出すための土台」——この認識に変わっただけで、働き方も暮らしも少しずつ整い始めました。
がんばりすぎているあなたが、倒れる前にこの本に出会えますように。
睡眠や休養について公的な情報を確認したい方は、厚生労働省の睡眠対策のページも参考になります。
※本記事は書籍の内容の一部を、私の解釈と体験を交えて紹介したものです。正確な内容はぜひ書籍をお読みください。また、心身の不調が続く場合は医療機関への相談を優先してください。




